『文学におけるマニエリスム』って英訳されてないんだ。
文学理論の講義で使うため、ルネ・ホッケ『文学におけるマニエリスム』を二十年ぶりぐらいに再読、というか拾い読み。
修士一年ぐらいのときに読んだのだろう。傍線が引いてある箇所はそれほどとんちんかんでもない。
ネオプラトニズムもプラティノスもショーレムも知らないころだから、どの程度わかっていてよんでいたのか心許ないが。
で、講義のレジュメに、そのまま引用できそうなところがあったのだが、どうしても意味が通じない。
私のつたない翻訳者としての経験は、こういうときは訳し落としがあるはず、と教える。
錆びついたドイツ語は役に立たないので、原典ではなく、英訳を探して照合しようと考えた。
ところがびっくり、『文学におけるマニエリスム』はおろか、『迷宮としての世界』も英訳がないのだ。
議会図書館のカタログを見ると仏訳はあった。あらためて種村季弘の偉大さを思い知る。アメリカ人、だめじゃん。
それはさておき、仕事は暗礁に乗り上げる。そもそもうちの大学の図書館には原典どころか『文学におけるマニエリスム』の翻訳もなかった。
どうしようかねえ。