国民宿舎由布山荘

国民宿舎に泊まったのはたぶんはじめて。子供の頃に泊まったことがあったどうか。成人してからは間違いなくはじめてだ。

全体の感想は、これで一泊一万円以下は安い。

料理はおいしい。量はちょうどよいか、やや少なめ。温泉旅館だと食べきれない量が出るが、もったいないから食べきってしまって健康にはよくない。

公共の宿へ目を向けさせてくれた『パパズホテル・日本』に書いてあったように、ここも、席に着く前から料理がある程度並んでいて、着席するなり次々と運ばれてくる、というスタイルだったが、とくに違和感はない。私のペースで食べていると、それでも料理と料理の間には待ち時間が発生するし。ただ、料理の説明が一切なかったのはとまどった。すき焼きの割り下用にある生卵なのか、それとも別種の料理のためのものなのか、聞かなくてはわからなかったし、たれもどれをつければいいのか困った。

部屋は狭い。一人用だったからかもしれないが、布団を敷き、横に座卓を置くとそれで部屋のほとんどが埋まってしまうという感じ。トイレがなかったのはつらかった。夜中の三時に起きて部屋の鍵かけて共同のトイレにまで行かなくてはならない。歯ブラシと浴衣、タオルとバスタオルはあった。九月のゼミ合宿で行った猿ヶ京温泉の宿はひどかったなあ。学生料金とはいえ、歯ブラシも浴衣もタオルも別料金。それじゃあ温泉じゃないだろう。

湯質は普通かな。当然、掛け流しだし、塩素の匂いなどはしない。露天風呂の湯温はかなり低めだが、疲れている体には心地よい。初日は久しぶりの温泉ということもあったのか、効能が体にしみわたるような気がしたが、二日目に入ったときはそれほどでもなく、薄い感じがした。猿ヶ京温泉とか富士吉田の鐘山苑のときに感じたのと同じ物足りなさだ。湯に浸かりながら和倉や熱海のことを思う。山の温泉より、海の温泉のほうが肌に合っているしれない。

由布院じたいの見所はあまりない。駅からひらける町並みが清里や軽井沢のようにいかにも観光地という感じなのだが、名物料理を売り物にしている店か土産物屋をのぞけばとくに入りたい店もないし、観光地にありがちなミニ美術館もしょぼい感じがした。

由布院の温泉の質は宿によっても違ってそうだし、湯平温泉など近くの温泉もあるので家族と再訪をすることにしよう。

次の学会温泉旅行の機会は来年六月の演劇学会。大阪市立大学だから近くの犬鳴山温泉に行く。次回のアメリカ文学会は秋田大学のようだ。これも楽しみ楽しみ。