金ペン堂で断られる

26日27日と演劇学会の全国大会があったので明治大学に行った。会場では久しぶりに会った人もおり、旧交を温めるのに忙しかった。残念ながら面白い発表はあまりなかったけれど。

土曜日はお昼休みの間に金ペン堂に行った。プラチナ#3776を買おうと思ったらプラチナは扱っていないという。ペリカンM800デモンストレーターがあったので、3Bのニブをつけて売ってもらえないかと頼むと、それまで接待していたお母さんが二階にいたらしい若旦那を呼んでくる。

太いニブをつけるとインクが下りてこなくなってしまう、とお母さんも言っていたが、下りてきた若旦那もまず同じことを口にする。それから「3BのニブをデモンストレーターではないM800と交換することはできるけれど、向きが合わないこともある」と言われたので、一瞬意味がわからなったが、どうやらペン先の向きと軸の向きが揃っていないと気にする客がいるみたいで、それは気にしません、という。

さらにどんなふうに使うつもりか、と言われたので、正直にヌードラーズの蛍光インクをつけて蛍光ペンがわりに使うつもりだ、と答えたら、若旦那の顔が曇る。「そのインクを試したことがないのでどうなるか保証できない」。最初からあまり売る気はないようだったので、ここであきらめて引き下がることにする。パイロットのカスタム74透明軸にコースニブをつけてヌードラーズを使ってます、問題はありません、とは付け加えたけれど。お母さんともどもに言っていたが、商売人なら本当はここで売らなくちゃいけないんだけど、私たちは売れないんですよね、ということのようだ。

6万円弱のものを買うだけの資力が今自分にあるのか、ということをよく検討しないまま成り行きで口に出してみたところがあったのも、向こうに見透かされていたのかな、と後になって思う。絶対に買う、という気持ちで臨んでいたらまた対応も違っていたかもしれない。こういう駆け引きがあるから対面商売は面白いんだよな、と思った。

プラチナ#3776ミッドナイトオーシャン・セルロイドをようやく入手。

前回の記事でプラチナ#3776ミッドナイトオーシャン・セルロイドをポチったということまで書いたが、あのあと程なくして店舗から品切れという返事がきた。他の通販の店にもあらかた問い合わせたが、プラチナは在庫がなく、今後の製造も未定ということでどこでも断られる。大丈夫かプラチナ。つぶれるんじゃないだろうな。

なかなか手に入らないとなると余計に欲しくなるのが人の常で、今日、Shizuoka春の芸術祭で芝居を見るために静岡にいく前に銀座で途中下車して伊東屋に行く。数日前伊東屋に電話すると、在庫ありという返事だったので取り置きしてもらっていたのだ。しかもほしかった太字。

とはいえ、当然のことながら定価販売であり、予定取得価格を1万円近くオーヴァーしてしまった。プレジデント赤軸は当分あきらめる。

嬉しくて新幹線のなかで早速開封し、当然ここは顔料ブルーでしょうということで同時に購入したプラチナの顔料インクをつけて試し書き。顔料ブルーは思っていたより青みがかっていて、白の書類にはやや目立つかな、という印象だが、やはり書き味は素晴らしい。太字ということもあってヌルヌル感は抜群。#3776の太字ニブもやはりよいね。

セルロイド軸は初めてだが、持った感触は正直その差がよくわからない。パイロットカスタム845を買ったときに、漆塗りの軸に感動したのに比べるとやや拍子抜けで、31500円の価値があるのか私にはわからなかった。模様が美しいというのもピンとこないし。

とはいえ、実用性という点では大変満足のできる買い物だった。パイロットのニブが世界で一番と信じていたが、少なくとも#3776はカスタム74よりはよいものだとわかった。パイロットと比べるとプラチナは軽く、キャップをつけずに書くと安定しないが、キャップをつけて書くとちょうどよい重みになり、かえってパイロットより安定しているぐらいだということがわかったことも大きい。

またここを放置してしてしまっていたよ。今日はアメリカ文学会東京支部の分科会で発表をした。とはいえ、学期中なので新しいネタを準備する時間はなく、学部のミュージカルゼミの夏期合宿でここ数年話してきた Dancer in the Dark のアンチミュージカル的モメントについて。3月の権田プロジェクトでの発表に使おうと思っていたネタだったが、9月に延期になってしまったからね。あちらでは Seven Brides for Seven Brothers をやろう。また冷戦期の話になるが、アメリカの暴力というプロジェクトのテーマにはよりふさわしい話ができるはず。

Dancer in the Darkのほうは、二週間前から時間をなんとかやりくりして発表原稿の執筆にいそしんではいたものの、当日まで完成にはいたらず、あちこちが空白になった原稿を読み上げるはめになる。全体会の終了が延びたので、時間が押すなか、何とかやり終えた。それなりに好評だったのではないかな。この作品が My Fair Lady のパロディになっているというのは管見では誰も言っていないが、実際に見比べれば一目瞭然だし、題名が Lady in the Dark を意識していることも実は誰もきちんと述べていないようだ。

今日の発表内容は早く論文にしよう。学会発表をしたあと放置してあるネタの多さでは誰にも負けない私だが、さすがにこのネタは放っておいて腐らせるにはおいしすぎる。発表後、小野さん、外岡さんからは貴重な助言をいただく。発表前には常山さんから Show Boatスクリプトのコピーをいただく。私を含めてこの四人で去年の12月のシンポジウムをやって、そのことがきっかけでミュージカル研究会を作ることにした。今日の発表はそのキックオフ・ミーティングでもあったわけだが、早速その恩恵を受けることができた。ありがたいありがたい。次は小野さんに発表をお願いするということで外岡さんと衆議一決する。

発表を終えたあとは、大学院生+ポスドク+今春めでたく就職した小宮山さんとケーキ屋に行く。結婚その他人生におけるもろもろの問題についておっさんくさい/おばさんくさい話をする。

18時ごろからの支部会飲み会への参加は辞退。毎回発表だけして帰ってしまうということで周囲から顰蹙を買っている、というか喧嘩を売っていると一部では思われている私だが、いつも睡眠時間を削って発表準備するものだから、終わると体がぼろぼろなんですよ。まして今日は娘の運動会だったのに行けずに妻に不興を買っていることもあり、小宮山さんたちと別れた後はそそくさと帰る。東京駅まで出て始発の中央線快速に乗り換え。座った瞬間眠気が襲ってくる。

4月から、娘を小学校に送ってから大学に行くようにしているので、朝8時には研究室のMacの前に座って仕事をしているという規則正しい生活を続けているのだが、それでも時間を作るのはなかなか難しい。とくに今週は忙しかった。折り悪く木曜日には科研で購入したMacBook Pro 15インチが届いてしまい、原稿を書きながらではあるがセットアップをして、それで時間がとられたこともある。Intel Core i7+メモリ8G+512GB SSDという贅沢な構成にしたのは正解だった。アプリケーションの起動は早いし、快適に原稿が書ける。起動に意外に時間がかかるし、終了にはもっと時間がかかることは予想外だったが。

金曜日は某所で某助成金の審査会だった。非常勤先の津田塾大学の授業を途中で切り上げ国分寺駅から中央線快速、新宿駅からタクシーにのり、約束の15時少し過ぎに部屋に入って、会議が終わる17時過ぎには別の用事のために他の審査員の人々がまだ残っているのを尻目に慌ただしく部屋を出た。メセナで有名な某一流企業の会長をはじめ、他の審査員の人々は私よりずっと忙しいはずなのに、この日ばかりは私ばかりが慌ただしく、申し訳ない気持ちになる。会議終了間際には、次の用事の件で二度も携帯電話が鳴るのでそのたびに出ていかなければならず、どんなに忙しいのかと思われただろうな。携帯電話が鳴ることなどふだんは滅多にないのだが。

で、その忙しさのせいか、その夜、家に帰ると買ったばかりのプラチナ#3776赤軸を紛失していることを発見。顔料ローズレッドを入れてレポート採点用にしていた。パイロットのカスタム74とほぼ同価格だが、カスタム74より軽く、どうもしっくりこないな、とは思っていたものの、巷でも評判の顔料ローズレッドのヌルヌル感もあずかってか、ペン先の適度な硬さは意外にも気持ちよく、大切に使っていこうと思っていた矢先のことだったのでショックを受ける。原稿を完成しなければならないストレスもあってか、いつも買っている楽天市場の某文房具店をそのままふらふらとたずねて散財。プラチナ#3776はやたらにバリエーションがあって値段もピンからキリなのだが、昨年夏に発売されて万年筆好きには話題になっていたミッドナイトオーシャン・セルロイドを買い、このペン用に顔料ブルーのインク(とコンバータ)を買う。さらに血迷って#3776より重いものをということでプレジデント赤軸(とコンバータ)も買う。こちらは採点用に。あわせて4万円弱。ポチッた瞬間後悔するが、今月は歌舞伎チケットにお金を使ってないからいいやと典型的な買い物中毒者の思考で有耶無耶にする。

買い物をする、時差ぼけ、『ビリー・エリオット』

まずなぜか日本の輸入代理店がなくなってしまったヌードラーズのインクを買いに、正規取扱店である5番街45丁目のArt Brownへ。白髪の紳士然とした店員に対応してもらう。前からほしかったニキータ・レッドと蛍光イエローのファイヤフライを購入。ニキータ・レッドというのはリンク先の説明にあるとおり、ニキータ・フルシチョフにちなんでいる。フルシチョフの写真を配したラベルには "We will BURY YOU" とか、"Communists never produced enough SHOVELS, nor did it ever give a free pen with a bottle of ink" とか書いてあるのだが、前者はフルシチョフが言ったことで、後者はアメリカの誰かが言ったことなのかなあ。赤のインクはまだいろいろあるから、これを実際に使うのは数年後のことになるかもしれないのだが、ネタとして買ってみた。ファイヤフライはパイロットのカスタム74コースニブを買ったらすぐに使う予定。インク見本を見せてもらってゴールデンピッグのほうが鮮やかな黄色であることがわかったが、残念ながら欠品中。あきらめてこちらにする。さらに、Lamy dialog3の見本が目にとまったので試し書きさせてもらう。300ドルだが欠品中で取り寄せとのこと。日本に住んでいるから無理だねと言ったら、日本にも送れるよとはこれまた商売熱心な。でも日本ではそれより少し安いぐらいで手に入るのだなあ。とは言わなかった。

つぎに、ブロードウェイ80丁目のゼイバーズに行って日本に持ち帰るための食料品を調達。買ったのは、まずパルミジャーノ・レッジャーノ。今回はいつも買っているものより高く36か月以上熟成というもの。それからRavidaというシシリアのオリーブオイルと、Manicardiの12年熟成もののバルサミコ酢。後者は250ml入りで$18.98というよい値段だ。我が家でバルサミコソースを最大量消費するのは、スーパーで売っている何の変哲もない生めんで作った焼きそばにかけるときなので(ゲテモノのように聞こえるがこれがうまいのだ)、ちょっとためらう。まあ、焼きそば用には日本で買っているアドリアーノ・グロソリ社の安いものを使って、これはちゃんとイタリア料理に使ってもらおう。ちなみにいまこの日記を書くために調べたら、どちらも日本で入手できるんだな。こことかこことか。でも日本で通信販売で取り寄せるにはちょっと高いと思ってしまうんだよなあ。こっちで買ってもそれほど値段は変わらないのに。

それから、ブロードウェイ78丁目にあるキューバンチャイニーズの店La Caridad 78へ。いつものチャーハンを食べる。脂っこくガスの臭いが移っていて人に勧められる代物ではないのだが、十五年前にはじめて連れてきてもらって以来、惰性で頼み続けている。昔学生と一緒にニューヨークに来て、この店に連れてきたとき、「センセイがこんな店で食べるなんて信じられない」と言われた。たしかにこれはB級グルメの味だ。今回は野菜スープを付け合わせで頼む。それでもお腹いっぱいになる。

ホテルに帰ってきて、ライターさんと電話で話したあと、急に眠気が襲ってくる。朝4時起きだったので、予想通り時差ぼけが時間差でやってきている様子。ベッドでそのまま寝てしまう。

19時に起きて出かけていった『ビリー・エリオット』はどちらかというと期待はずれ。『リトル・ダンサー』のほうがずっとよかったな。物語を語ることに性急なあまり、ナンバーがいかにもとってつけたようなものなのだ。ロイヤルバレエスクールからの合格通知を受け取ったとき、"Billy Elliot, Esquire"という宛名をビリーが読み間違えて "Billy Elliot is queer" と言う、という苦しいギャグをはじめ(いくらイギリスでもいまどき Esquire はないんじゃないか、そもそも Esq.と省略するのではないか)、男の子にキスをするとか、一生懸命 queering していることはわかった。それから、タップダンスをみんなにやらせることで、クラシックバレエファン御用達映画である『リトル・ダンサー』をアメリカン・ミュージカル的なものに見せかけようとする努力も見てとれた。でもそれだけ。初日に『南太平洋』を見たのは失敗だった。あれが基準になるとどんなミュージカルも駄作に見えてしまう。

iPhoneローカライズ

ニューヨーク滞在二日目に最初にしたことはiPhoneを使えるようにすること。iPhone 3Gはすでに年末にjailbreakしてSIMフリー化していたので、AT&TのPrepaid SIMをさすことにする。情報はをぢの日記さんのところから。ただし新旧の情報が錯綜していて若干わかりにくいので、現在わかっていることをまとめる。詳細はをぢの日記さんの記述にゆずる。

  1. AT&T Gophone携帯を入手してそのSIMを利用する方法は3月段階では不可。理由は現在売られているGophoneはすべて$15かそれ以上のリフィルがバンドルされており、これらのSIMはすべてGophoneに紐付けされてiPhoneでは使えない(未確認)からだ。
  2. AT&Tの公認リテイルショップではSIMだけを単独に売ってくれるところもある。少なくとも私はホテルのすぐ近くにあるここで買えた。とうか、インド人の店員の兄ちゃんにiPhone用にSIMを買いたい、と正直に言ったら、unlockしてあるかと聞かれ、大丈夫だと答えたら今刺さっているiphoneのSIMを取り出してAT&TのSIMを入れて店のPCでアクティヴェイトまでしてくれた。SIMの値段は25ドル。
  3. せっかく手に入れたSIMカードを無効にしたくない&一年以内に再び渡米する計画があるのであれば、最高額の$100のリフィルカードを買うべき。これだけが有効期限が一年間ある。アカウントに100ドル入るので、ここから通常の通信代と、Medianet(データ通信割引)100MB-$19.99を購入する。アカウントは銀行口座やクレジットカード・デビッドカードを使ってもリフィルできるのだが、すべて請求住所がアメリカにあることが前提。CITI bankの口座を持っているので試してみたが、アメリカの住所を入れるところにダミー情報を入れたら決済を拒絶された。
  4. あとは、$25のリフィルカードをあらかじめ買っておいて有効期限がくる3か月ごとにリフィルする、というやりかたもあるが、これは忘れそう。
  5. Wi-Fi環境のあるところでwww.unlockit.co.nziphoneからアクセスをしてAPNを変える。をぢの日記さんなどにはAT&Tを選ぶと書いてあったが私はこれではうまくいかず、Cingularを選ぶとつながった。ただしこれは追加実験をしてないから真偽のほどは定かではない。各情報は、AT&TとCingularでは同じ、ただ前者はすべて大文字だが後者は頭文字のみ大文字。

それからiphone用のアプリを購入。

  1. AroundMe:日本でも便利に使っていたのだが、ニューヨークでも使えた。位置情報を取得して周辺の施設を教えてくれる。最寄りのスターバックスシティバンクがどこにあるかを調べるのに使った。マンハッタンだと、適当に歩いているとスターバックスがあるのでそれほど多用はしなかった。
  2. Zagat to Go:いわずとしれたZagatIphoneアプリ版だが、これは失敗。同じく位置情報を取得して近くのレストランを教えてくれるのだが、動作が鈍く、体感では1分ほど待たされる。初期費用1200円で一年間のみ。あとはまた費用を要求されるらしい。ただし、不十分だが日本や他国のレストラン情報も検索できる。また、データベースをダウンロードするとWifiや3Gなしでも使えるようになる。
  3. MenuPages:マンハッタン内のレストランを検索するのであれば無料のこのアプリで十分。同じく位置情報から周辺のレストランを検索。
  4. CityTransit:位置情報を取得して最寄りの地下鉄の駅を表示、乗り換え案内、工事情報など。バスの路線図も見られる。通常はこちらだけで十分だが、工事情報の文字が細かすぎて読みにくいのと、次のiTrans NYC Subway にある時刻表機能(あと何分で列車がやってくるか)がないのが欠点。
  5. iTrans NYC Subway:CityTransitよりユーザインタフェイスは完成されている。ただし、バスの路線図がないので私は二つを併用せざるを得なかった。

ニューヨークに来ました

いろいろ忙しくて書くネタには事欠かない日々を送ってきたが、全部省略。

ニューヨークへ来ました。明日から芝居をたくさん見て、図書館で調べものします。

今回はマイレージを一気に使い、コンチネンタル航空のビジネスファーストと奢った。

JALビジネスクラスのフルフラットシートほどではないが、シートがアメリカ人に合わせて巨大なので快適。

機中12時間の旅も、極限まで疲労するということはなかった。

ユナイテッド航空との共同運航便になってもこのビジネスファーストは残るんだろうか。

UAってニューヨーク直行便なくしていたんだね。7月に再度ニューヨークへ行くため、ウェブサイト上でUAマイレージを使って予約をしようとしていたとき、条件をどう変えても直行便が出てこないので、おかしいなあと思いつつサンフランシスコ経由の便をとっていたのだが、帰国したらキャンセルしてCOのビジネスファーストに変えよう。UAマイレージでCOもとれるはずだし。

滞在先は414 HOTEL

ここははじめてだけど、値段相応かな。税込み一泊200ドルというのが安いと思って予約したのだが、ブティックホテルとは名ばかりの、アパートメントハウスをコンバートしただけのもの。

キッチンがついていて、無料サービスの朝食があって、無線LANが無料で提供されている、というのがよい点。

大型液晶テレビがある清潔できれいな部屋、という点も売りなのかな。私はテレビを見ないので関係ないが。

壁が薄くて、隣や下の部屋の物音が丸聞こえなのと、24時間出入りが自由なのに、レセプションには人がいないことが多いのでセキュリティは自分の部屋のドア一枚でしか保証されない、というのが大きな問題点。(追記:これは訂正。実際にはレセプションのすぐ後ろのバックルームに人がいて、わりときちんと出入りを見ている。誰もいないと思って通り過ぎたら後ろから呼び止められて荷物が来ていると言われたり)。

エレベーターがないので3階の部屋にスーツケースを抱えていかなくてはいけなかったとか、シャワーの水圧が弱いとか(これは弱小ホテル共通の現象だ)、アメニティもシャンプー、コンディショナー、石けん、と最低限のものしかない、というのは小さな問題点。

COのビジネスファーストでもらった歯ブラシその他お泊まりセットを持って帰ってきてよかった。

やっぱり多少高くついても、いつも泊まっているシェラトンのようなところのほうがよいなあ、と贅沢に慣れた身は思ってしまう。

こういうところを見ると、二〜三十代のカップルには人気があるみたいだ。

四十代のおっさんの単身旅行には不向きということだね。

日本から持ってきたカップ麺の天ぷらそばを夕食に食べる。

味噌汁を海外旅行に持って行く日本人に自分がなるとはまるきり思っていなかったのだが、今回ははじめて、インスタントラーメンと味噌汁を持ってきた。

ニューヨークに来るたびに気持ちが落ち込むのはカツオ節と煮干しのだしの味から遠ざかっているからだ、ということを素直に認めようと思ったからだ。

近くのDuane Readeに買い出しにいって水と野菜ジュースとカミソリを買ってきて、これを書いて寝ます。

iPadについて

Amazon Kindleが発売されたときに遠藤さんを煽って危うく買わせるところまでいきながら、自分は買わなかったのは二つ理由があった。

一つは、日本語がサポートされておらず、pdfファイルはフォント埋め込みでなんとか対応できても、アップロードが大変そうだったこと。

もう一つは、iSlateと言われていたiPadがすぐに出るからそっちにするべきではないか、というもの。

しかし昨日めでたくiPadが発表されてわかってしまったのは、iPadKindleのような電子ペーパーではなく、従来型の液晶ディスプレイを採用したこと。

フルカラーLCDモードと電子ペーパーモードの切り替えができるPixel Qiなんていうのが出ているから、Appleも似たようなデュアルディスプレイモードを採用するのではないかと淡い期待を抱いていたのだが、そんなことはなかった。

液晶ディスプレイで文字を読むのは疲れる。岸田國士論文を書くにあたってとりあえず岸田の全戯曲を読破したとき、iPhone青空文庫リーダーである豊平文庫はじつに役に立ったが、あれは必要に迫られてであって、あまり積極的にやりたいことではない。

Kindle電子ペーパーは液晶ディスプレイと違って自ら発光しないため、読んでいても疲れないのだそうだ。まあ本当のところは、自分で試してみないとわからないが。

電子本端末+αというiPadのコンセプトは魅力だが、ディスプレイが液晶では、肝心の電子本としての魅力が半減だ。

しかもiPhoneMacBook Airのユーザーにとっては購入する必然性があまりない。iPhoneでやりにくいことはMBAを持っていけばよいのだし、iPadでもMBAの代替にはならないわけだし。

まあそんなこといって買ってしまうのだろうけどなあ……。とりあえず来年度の研究費でKindleを購入することを決定。DXにするかどうかは悩ましいところだ。ディスプレイは大きいほうがよいが、持ち運びはその分しにくくなるわけだしね。