iPadとKindle DX所感

結局どっちも買ってしまったので所感を。

iPadは半分お遊びのつもりで買い、そしてその通りになっている。

ソフトキーボードはiPhoneより多少入力が楽だという程度のもの。外付けのキーボードも買ったが、結局日本語変換ソフトがないから変換効率は悪いし、入力時に待たされるので、快適にはほど遠い。Mac/PCでのキーボード入力に比べるとストレスがたまる。

iPadKeynoteは、私のように動画をふんだんにとりいれたプレゼンテーションをする場合は全く役に立たない。Mac上で作った動画入りKeynoteファイルは、見事に動画なしのファイルに変換される。静止画もサイズがあまり大きいとだめなようだ。

辞書ソフトは画面が大きい分見やすい。Macで使えない&使っていない辞書を見るときには重宝する。ただし、多くの英英辞典やOxfordのミニ百科事典シリーズはまだiPad画面にネイティブ対応してないので見にくい。物書堂の一連の辞典は便利。最近アクセス独和も出たので、これで英仏独伊は揃った。あとはスペイン語ポルトガル語か。科研のテーマが南米なので、この二つは今後は重要になってくるのだ。

i文庫HDは便利。デザインは今ひとつだが、青空文庫やPDFファイル化したテキストを読むのが大変快適である。今後はあまり読まなくなった本は裁断・スキャンして電子化、いわゆる「自炊」するのがよいかもしれない。

Apple謹製iBooksも、じつは Bartleby, the Scrivener なんかが無料ダウンロードできて、言われているほど悪くはない。Voyager Booksも無料で読める津野海太郎ガリ版の話」は、津野ファンであることを差し引いても面白かったが、有料で購入できるラインナップが少なすぎる。ebiReaderはまだiPad画面にネイティブ対応していない。Kindle for iPadはそれなりに読めるが、Kindle DXに比べると雲泥の差。あとで詳述。

以外に役だっているのがPapers。Mac版はレジストしないままほとんど使わなかったが、iPad版との連動が便利でどちらも購入してしまった。これはアメリカの大学のように図書館でJSTORやらProject MUSEなどから電子化された論文がダウンロードし放題というころになると大変な威力を発揮する。この手の電子ファイルは整理分類が面倒になるわけだが、Papersでは"Match Paper"という機能を使うと、Google ScholarsやJSTOR, Project MUSEを検索して、わずかなキーワードをもとにすべて書誌情報を補ってくれる。

Good Readerは出先でメールに添付されたPDFファイルを確認することが頻繁にある人にとっては便利なのだろうが、私の今の仕事の形態ではそれほど使う機会はない。PrintCentral は研究室や自宅のMacにある書類をプリンタに印刷することができるが、出先でそんなことをする必要があるときはほとんどないだろうな。ACTPrinterはMacからPDFファイルを送るときに使う。飛行機のeチケットとか、都内路線図などをこれでiPadにためておく。

TodoはRemember the Milkとの連携ができなくなったのが悲しいが、Toodledoを使うことでなんとかGTDのまねごとをしている。

Google Reader連携のアプリとしてNetNews Wireを購入し、さらにその補助アプリとしてInstapaperを購入した。これらは電車のなかのような、通信状態のよくないときには重宝する。
ThicketやBubble Harp, Gravitariumのような、一昔前ならばメディアアートとしてICCとかで「体験」するものであったものがiPad上でできるのには少々感動したが、まあ毎日いじるものではない。

あとは娘のためのゲームをいくつか。そうそう、はじめて太鼓の達人というのをやってみた。なかなか難しいので最初はむきになってやっていたが、すぐに飽きた。私は大人になってからコンピュータゲームにほとんど耽溺した覚えがない。11歳から14歳までゲームセンター狂いをしていたからだと思う。子供の頃に耐性ができるとそれ以降あまり刺激的だと感じなくなるのだろう。あ、でも留学中にネット麻雀にはかなりはまっていたな…あれは現実逃避だった。

とはいえ、以上のようなことを知るためにアプリをダウンロードしてはいろいろ使い道を探る
のがいちばん楽しいので、半分以上遊びというのはそういうことだ。初期のPCと同じで、労働生産性を上げるための努力に時間をとられて結局は労働生産性は上がらないという。

それにたいして7日に発売されたばかりのKindle DXの新ヴァージョン、これは素晴らしい。研究者は必携だ!

電子ペーパーの視認性は聞きしに勝るもので、紙媒体で読んでいるのとなにも変わらない。

ウェブブラウジングやMP3の音楽を聴くこともできるが、ブラウザは死ぬほど遅く、日本語は使えず、音質はお粗末なので、二度と試そうという気がなくなる。つまり、本を読むことに集中できる。iPadだと、i文庫HDやiBooks、あるいはPapersで本や論文を読んでいても、つい飽きると他のことをしてしまうが、Kindle DXではそんなことはできない。

読み進んだ割合を示すインディケータがあるのもゲーム感覚でよい。紙媒体のようにときどきページ数を確認して「あと何ページ」と思いながら読むより、リアルタイムで数字が増えていくほうが読み進めていくとき楽しい。

ただし、Kindleファイルに変換した青空文庫や、読み込んだPDFファイルの表示はどうもお粗末だ。英語フォントがスタイリッシュであるのに比べてどうもデザイン性が悪く、またPDFファイルはサイズ調整がうまくいかないので、これならiPadでi文庫HDを使っていたほうがよい。

つまり英語を読むという目的のみに徹すれば、これほど素晴らしいものはない。Kindleバージョンの本は案外高いものが多いので、ダウンロードしまくる、というわけにはいかないが、読みたいと思った本をその瞬間から読み始めることができる(こともある)、という体験は何物にも代えたがたい。

ページ数の表記がないために、論文に引用するときにはページ数の確認のために紙媒体を照会しなければならない、という問題は抱えるものの、勤務先の図書館などに該当の本があれば、照会そのものはそれほど時間がかからないわけだし。いまにMLAとかでKindle版の本のページ数の表記ルールができるかもしれないし。

絶対に引用する、とわかっている本は紙で買い、とりあえず目を通せば十分、という本はKindleで買う、というのが現状での最適解かな。とにかくこれ以上本が増えるのはなんとしても避けたいというのもある。

そんなわけでみなさんKindle DX買いましょう。アメリカから二日で届きましたよ。