*石垣島・西表島旅行第二日:オーベルジュ川平に泊まる

石垣島二日目。午前中は全日空ホテル&リゾートのビーチでシュノーケリング講習の予定だった。4歳ながら夢はダイバーという娘の希望に沿ったものだったが、前日波が荒いので中止になるかもしれないと言われて気を揉んでいた。中止のときは朝9時まで知らせるという話だったが、それまでに電話はない。できるのだと浮かれていたところ、9時半すぎにホテルの部屋に電話があって、満潮なので幼い子供さんには遠慮してもらっているという。午後なら潮が引くので大丈夫だと言われたが、午後は石垣ドライブ観光をすることになっている。泣く泣くキャンセルする。波が高い低いならいざ知らず、満潮になっていることは事前にわかりそうなものではないか。文句を言いたかったがそんな気力もなかったのでプールへ直行。娘が喜んでくれたので一安心。室外プールではウォーターシュートもあり、家族三人で楽しみました。

午後は今日泊まるオーベルジュ川平をめざして石垣島を半周。昨日石垣空港から乗ったタクシー運転手の渡久山さんに頼んですべてお任せ。13時から17時(実際には17時半近く)まで拘束して15000円というのはかなりお得な値段ではなかったろうか。最初は会社にだまって稼ぐのだろう、15000円は丸ごと渡久山さんに入るのだから、彼にとってもそう悪くはない話だと思っていたが、無線を切らずにいるのを見て考えを改める。ちょっと考えれば当たり前の話だが、会社にはきちんと報告しているのだ。車だって会社のものだし、闇で稼いでいれば、万一事故にあったり、あるいは私たちがとんでもない家族で金を奪ったり傷害を与えたりすれば、そのリスクを全部自分でかぶらなければいけない。相場以下でお願いしたことをちょっと後悔する。もちろん、観光案内所で16000円とか18000円というのは仲介料が入ってのことだからそう変わらないのだろうが…後味が悪い。

そんなことを考えている間にいろいろなところに案内してもらう。マングローブの林では小型のカニトビハゼ(沖縄ではトントンミーと言われるらしい)を見た。唐人墓にも行った。石垣鍾乳洞はしょぼかった。

八重山民俗園がいちばんおもしろかった。娘と妻はリスザルに大騒ぎ。売っているえさを手に持っていると果敢にアタックしてきて奪おうとするのだ。私は馬をなでたら「てめえなめとんのか」と喧嘩腰で迫ってこられ、シャツを本気で噛まれたので急いで逃げた。怖かった。

昔の民家が保存されていて、中で休める。広くて風通しがいい作りなので、冷房がなくてもそれなりに涼しい。ここで一時間近く休んだ。娘はお母さんに連れられた一歳か二歳の女の子と遊んでいた。

その後オーベルジュ川平に到着。一日だけの宿泊ということで驚いた対応をされる。少なからぬ固定客が石垣島滞在の全日程をここで宿泊するのは予想がつくが、初回でいきなり賭をするわけにはいかない。部屋に入るとハーブオイルが焚きしめてあっていい気持ちになるが、部屋そのものは全日空ホテル&リゾートに比べると狭く、何よりも大きな柱が部屋の中央にあってじゃまに感じる。テーブルには名前を忘れたが30代から40代男性向けのちゃらい雑誌が数冊。高城剛が出ていてポルシェ並みのスピードが出るエコカーの工場を訪問し、自分も絶対に買うと言っている記事とか、五万円するジーンズのオーダーの記事とか。なんというか、私じしんにその傾向がないとはいえないからたんに笑いとばすわけにはいかないのだが、こうした雑誌が象徴しているように、バブル景気に若い頃を過ごした経験がいまでも忘れられない小金持ちの男性が夢見る程度のホテルなんだ、ということがわかってしまって、ちょっと興ざめする。「酢豆腐」ではないが(ATOK 2008は一発で変換できなかったぞ、このぐらいデフォルトで辞書に登録してほしいものだ)、通人ぶって勘違いしている中年男ほど気持ち悪いものはないからなあ。さすがスンつぁん。なんてな。

名前のとおりレストランが売りなので、チェックインのあと一時間してレストランに行く。サービスは丁寧かつ誠実だが経験を積んでいない人たちだ。味はまあまあ。石垣牛をオプションで頼んだら昨日ほど柔らかくはなく、ちょっと後悔する。娘が眠さのあまりアイスを食べたくないと言い出したのでひとしきり怒り、それでも食べないので妻が部屋に連れて行く。10分ほどで戻り、すぐ寝たという。朝から遊んでばかりなのでさすがに疲れていたのだろう。妻と二人でワインをハーフボトル空け、部屋に戻る。昨日と同じく満腹と疲労でベッドに入るとすぐ寝入ってしまう。ベッドは最高のものだった。

昨日は朝まで寝てしまったが、今日はさすがに夜中二時頃起きて風呂に入る。バスルームもちゃらいがあまりお金をかけていない感じ、かわりにアメニティが充実している。別に不満というわけではないのだが、全日空ホテル&リゾートのある程度金のかかった豪華な内装と比べるといかに金をかけないで宿泊客をゴージャスな気分にさせるかという経営側の戦略が透けて見えておもしろくない。