英文学会シンポジウムおわる

シンポジウムの司会であるにもかかわらず、当日打ち合わせ時間に大幅に遅刻をするという大失態をする。ゲストである河合祥一郎さんと平田オリザさん、そしてこのシンポジウムの企画者である舌津智之さんと会ったのは、彼らが会場に向かうところであった。当然打ち合わせなしのぶっつけ本番。

舌津さんは心配して自宅にまで電話をくれたそうだが、みんなで「でも、電話して家にいたらどうしようか」という話をしていたらしい。河合さんと平田さんは二人でやるということも考えていたという。平謝り。まあでも私なんぞいないでお二人でやったほうが面白かったかも知れない。

シンポジウムそのものは、お二人のさすがのパフォーマンスぶりと、司会の私が当社比ツッコミ度10%にしたせいで(少なくとも周囲の人々からは)お褒めの言葉をいただく。本当はもっといやみなことを二人に質問しようかと思っていたのだが、当日の大失態があっただけにさすがに傲岸不遜で有名な私も憚られた。それがかえって功を奏したと言うことだろう。

今年のアメリカ文学発題のシンポジウムはみんな豪華な顔ぶれで、とくに同僚の下河辺美知子さんが企画したシンポジウムは内田樹柴田元幸両氏をゲストに迎えるというもので、大半はこちらに聴衆をとられるだろうと予想していたが、私たちのシンポジウムも、なかなかどうして、健闘した数字だったらしい。

とはいえ、同僚でありながらまったくこちらに配慮した様子を見せない下河辺氏には頭が下がる。これはいやみでもなんでもなく、彼女の誰であろうと敵(シンポジウムの企画という点では私たちは敵同士だ)は全力で倒すという姿勢は大変素晴らしい。そもそも私たちがこの企画で平田氏、河合氏をよぶことを決めた段階では内田氏、柴田氏を呼ぶという話は毛ほどもなかったのだ。とある研究会でそのことを直接聞かされて口惜しくて泣いたのも今は昔。

格上のお二人を相手に丁々発止とまではいかなかったが、それなりに切り結んだので私は終了後どっと疲れる。たいしてお二人はまったく疲れた様子もなく、次の仕事があるからといって爽やかに去っていったのが印象的だった。

パワーのある人たちにはかなわないなあ。そうして私はまたもペリエを痛飲するのだった。